20代女性。主訴は両手首の痛みです。
ある工場で働いていて、大きなカゴを何段か一度に持った時に両手首に鋭い痛みが出現。
それから少し動かすだけで痛みが出てしまい、数日後に整形外科でレントゲンを撮ったところ、
「尺骨突き上げ症候群」と診断された。病院で手首の固定具を出してもらったが、仕事で使うと痛みがでる。
床に手をつくのも痛い。
尺骨突き上げ症候群とは、簡単に言うと橈骨より尺骨がでっぱってしまい、関節や靭帯、軟骨がぶつかり、手首に痛みが出る状態です。
正常であれば、橈骨と尺骨はほぼ同じ長さで手首の関節を作っているのですが、
重労働、反復作業、加齢、生まれつきなどの要因で尺骨がでっぱってしまい、こういった症状につながります。
尺骨側にある、三角繊維軟骨板を痛めると「TFCC損傷」と呼ばれる場合もあります。
この患者さんも、やはり仕事での手首の使い方が原因だと思われます。
整形の先生には生まれつきと言われたようですが、今の仕事をするまではこういった症状は出ていないとのこと。
生まれつきであれば、仕事する前から尺骨に負荷がかかる動作で症状が出ていてもおかしくありません。
当院ではレントゲンによる画像の問題ではなく、どの動きで痛いのかを確認します。
初診時では、回外、尺屈、背屈という動きで痛みが出ました。この動きでどうしたら痛みが出なくなるのかを考えます。
手首を動かせば、当然肘も動きます。尺骨近位の肘頭をI→S、橈骨頭をS→I、橈骨遠位をP→A、円回内筋、方形回内筋、尺骨神経のリリース、上部胸椎、上部肋骨、鎖骨、仙骨のアジャストメント。
術後の痛みは10→2まで減少。テーピングも施しました。
10日後に再度来院されたときは、仕事しても痛みは3〜4くらい。5回ほどの施術で仕事でもほぼ支障がでないほどに落ち着きました。
レントゲンで尺骨が突き出ていると言われると、手術でもしない限り治らないのかなと思っていたようですが、
レントゲンも一つの検査要因であって、それですべてを決めつけてしまうのはもったいないです。
骨の位置、関節の動き、筋肉の動き、神経の働きを本来の状態に戻せば、また元気に動かせるようになったりします。
画像には出てこない問題を見つけるのが、我々カイロプラクターの仕事だと思っています。