〇50代男性。
主訴は顎周辺、鎖骨周辺、首、背中、腰、みぞおち、鼡径部、手首、足首の痛み。
また、中学生のとき側弯症と診断され、手術を勧められるほどの側弯でしたが、学生時代に長期の入院は進路にも影響する恐れや身体症状がほぼ無かったなど考えて手術はしなかったとのこと。
全身の痛みは2年前に突然発症。その当時、ご兄弟と奥さんが近い時期で重い病気にかかってしまい、相当精神的なダメージがあったそうです。
全身の痛みを訴え整形外科へ行き、ステロイドの注射を受けたところ、更にだるさやめまい、痛みの悪化などの症状がでてしまい、当院へ来られました。
なんとか仕事にも行ってはいるが、天気やその日の状態で痛みに波があるので、仕事がはかどらないこともしばしばある。
これだけ広範囲に痛みがあるとなると、まず考えるのは線維筋痛症でした。
線維筋痛症とは「原因不明の全身の痛み」です。日本でも比較的最近出てきた病名なので、まだまだ認知度の低い病気です。
全身の筋肉や関節に痛みやこわばりがあり、一定の部位に圧痛が認められるということ以外他に異常がでません。臨床的な検査を行っても異常がないのです。
原因はまだわかっていませんが、脳の痛みを抑える働きが低下し、身体には異常がなくても過度に痛みを感じてしまうのではないかと言われています。
症状としては全身の痛みだけでなく、「疲労感」、「睡眠障害」、「だるさ」、「しびれ」、「うつ状態」など様々な症状が併発します。
線維筋痛症の評価は全身18か所の圧痛点のうち11か所以上に痛みがあるというのが今のところの基準です。
ひどい圧痛ではありませんが、ほとんどの部位に圧痛を認められました。
「今まで行った病院で、線維筋痛症と言われたことはなかったですか?」と聞いたのですが、「はじめて聞きました。」ということでした。
それだけまだ認知のされていない疾患だと改めて感じました。
当院では、脊柱の異常による神経の機能障害の調整、各関節の機能障害の調整、軟部組織のリリースを行います。
仮に線維筋痛症であれば、カイロプラクティックのアジャストメントは非常に有効だと思います。
顎周辺の症状が強かったので、初回は顎関節、頸椎を中心にみました。顎関節は可動域が亢進していました。
頸椎の前弯減少(ストレートネック)、環椎後頭関節の伸展位により顎関節が亢進していました。
顎から始まり、そこから下部へと、ひとつひとつ症状の強い部位の関節の機能障害と脊柱の障害を調整していきました。
現在5回ほどの施術ですが、顎周辺の痛みは10→3まで軽減。天気が悪くなると調子が悪くなっていたのが、あまり悪くならなくなったそうです。
付随してほかの全身の痛みも軽減してきています。まだ痛みはあるものの、以前に比べれば大分軽減され、仕事もこなせるようになったと喜んでくださいました。
さらに、少し前に健康診断があったのですが、側弯症の弯曲が昨年よりも減少していたとドクターも驚いていたそうです。
目視でも肩甲骨の盛り上がりが減少し、側弯が減少しているのが確認できました。表情も以前より笑顔が増えて良かったです。